映画ネタバレ

映画【弥生、三月-君を愛した30年-】ネタバレあらすじ!サクラが結ぶ時間と絆。感想レビューも

(C)2020「弥生、三月」製作委員会

30年___幼なじみの弥生と太郎の間にあったのは、叶わなかった淡い思い。

恋と、結婚と、親と、子供…ままならなかった人生を振り返った時、二人に残されていたのは何だったのか。

ここでは、映画「弥生、三月-君を愛した30年-」のあらすじを「ネタバレなし」、「ネタバレあり(結末まで)」のパートに分けてご紹介します。

後半では、感想レビューを書いていますので、そちらもぜひご覧ください。

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【弥生、三月-君を愛した30年-】予備知識

「弥生、三月-君を愛した30年-」の予告動画

公開日(日本):2020年3月20日

監督:遊川和彦

キャスト
波留(結城弥生):
意志の強い女子高生だった。
親友のサクラのいじめや闘病を通して「サリバン先生のような先生になりたい」と願うようになった。
太郎のことは好きだったが、サクラの初恋を思うと踏み出せないままにいた。
のちに教師になり、白井と結婚する。

成田凌(山田太郎):
弥生の幼馴染で、サッカー選手を目指していた。
クラブチームからJリーガーを目指したが、性格が災いし、出来ちゃった結婚で息子のあゆむを授かることになる。
事故で選手を続けられなくなり、自暴自棄な生活に陥る。

杉咲花(渡辺サクラ):
薬害エイズで、高校三年生でこの世を去る。
親友の弥生と、初恋の太郎が結ばれることを祈っていた。

岡田健史(あゆむ):
太郎の息子。
離婚して母親に引き取られたが、弥生のおかげで太郎と再会し、弥生に憧れて教師になった。

小澤征悦(白井卓磨):
弥生の年上の夫。かかりつけの歯医者さんだった。

黒木瞳(山田真理亜):
太郎の母親。一人で食堂を切り盛りしていたが、東日本大震災の津波ですべてを失う。

岡本玲:太郎の妻。サッカー選手時代に付き合っていてあゆみを妊娠、出来ちゃった結婚したが、後に離婚、シングルマザーになった。

矢島健一:弥生の父親。借金のカタに弥生を銀行の重役の息子に差し出そうとした。

奥貫薫:弥生の母親。妹たちのために、弥生の結婚を止めようとはしなかった。

夙川アトム:弥生とサクラのクラス担任。のちに弥生とは思わぬ再会を果たす。

橋爪淳:サクラの父。娘の形見のウォークマンを太郎に託す。

作品概要
1986年の3月1日に始まった、サクラを中心にした弥生と太郎の関係は、得難い友として、そして切ない恋、人生の苦しみ、とさまざまに形を変えて長い時間を漂っていくことになりました。

遊川監督が描く、東北の自然の美しさと、他の人と結婚しながらも互いの人生のなかに不可分な存在としてあり続けてきた男女のこれは30年にわたる二人の関りと、50年に及ぶ人生の物語です。

【弥生、三月-君を愛した30年-】あらすじ(ネタバレなし)

1986年、3月1日

その日、弥生はバスを追いかけて全力疾走していました。

最後部には幼馴染の太郎が、そして中ほどには親友のクラスメイト・桜が座っていたのです。

太郎はお調子者の性格が災いしてサッカー部を辞めていましたが、弥生はサクラのためにもう一度復帰しなさいよ、と言いました。

(C)2020「弥生、三月」製作委員会

学校について、教室に入ると…そこには桜がAIDSであること、そして卑猥な嫌がらせの言葉が沢山黒板に書き連ねてあったのです。

毅然としてそれを糾弾する弥生。

いじめをしていたのは中心になった女子生徒たち…そして、それをまるでなかったことのようにする担任の姿に彼女の怒りはヒートアップしました。

サクラは、薬害エイズの被害者でした。

その病気は簡単にうつるものではない、と示すために、弥生は思わずサクラにキスをしたのです。

唖然とする周囲をよそに、サクラはその弥生の勇気に感謝し、そしてクラスの空気も変わったのです。

そんな彼女らの様子に、太郎は奮起してサッカー部に戻り、プロを目指す、と宣言していたのです。

(C)2020「弥生、三月」製作委員会

翌年は一緒にその試合を見ていた弥生とサクラ。

その初恋の相手だと知っていた弥生は、サクラに告白を促しましたが、サクラは病気のこともあり、告げられないままに、翌年亡くなってしまいました。

卒業式の日。
その証書を受け取ったのは両親でした。

サクラが好きだった歌を聞いて欲しい、との希望で流れたのは坂本九の「見上げてごらん夜の星を」です。

しらじらしく泣いていたのは、サクラをいじめていた女子生徒や、抑止力にもなりえなかった担任です。

それを見て、逆に泣けなかった弥生と太郎。

(C)2020「弥生、三月」製作委員会

二人の中には、サクラの存在が大きく息づいていました。

弥生は、東京の大学へ。
サリバン先生のような教師を目指す、と。

そして、太郎はクラブチームに所属し、そこからJリーグの選手になる、というのです。

帰り道が分かれる分岐点にやってくると、太郎が言いました。

「もし40歳過ぎても独身だったら、俺が結婚してやるよー!」

弥生の手を握ることも出来ないままに、二人は右と左へと歩いていきました。

その言葉は…まるで、ある意味“呪い”のように、二人の中に残ったのです。

25歳、太郎、出来ちゃった結婚⁈

(C)2020「弥生、三月」製作委員会

その日、弥生は招待されて披露宴に出ていました。

新郎は太郎です。

彼は、付き合っていた女の子を妊娠させてしまい、その責任を取る形で、覚悟もないままにその場に立っていたのです。

太郎の母、真理亜は弥生を見つけると笑って言いました。

「アタシはね、弥生ちゃんと結婚すればいいと思ってたんだけどねぇ」

悪意のない、素直な言葉がぐさりと胸に刺さります。

その頃、大学を卒業した弥生は教員採用試験に合格し、東京で教師の仕事を始めていました。

それから数年。

プロチームに食い込んだものの、鳴かず飛ばずの末席にようやく引っかかっていた太郎。

息子の“あゆむ”とサッカーの練習を楽しんでいた彼でしたが。

「パパはワールドカップで得点王になるんだよね!」

その直後にかかってきた電話は…戦力外通告、次年度の契約は無し、という容赦のないもので、呆然として一瞬我を忘れたすきに、あゆみが転がるボールを追って道路に飛び出したことに気付いた太郎は、身を挺して息子を守ったのです。

以下、結末までのネタバレになります。ご注意ください。

【弥生、三月-君を愛した30年-】あらすじ(ネタバレ)

弥生の人生

ある年の三月、サクラのお墓の前に、足を引きずってきた太郎は、離婚し、息子も連れていかれて独りぼっちでした。

そんな愚痴を話していた時、誰かがやってくる気配がしました。

弥生と、知らない男性です。

丘の裏側に回って弥生がサクラに語る声を聞いていた太郎。

相手が弥生のかかりつけの歯医者さんであり、弥生に優しくしてくれる素敵な人だということを理解した彼は、そのままこっそりと立ち去りました。

治療中の恥ずかしい顔を知られているから、もうためらう理由がない、というのも弥生らしい気持ちだなと思ったのです。

東京で歯科医院をやっていた彼・卓磨と、高校の教師をしていた弥生でしたが、しばらくして転機が訪れます。

弥生の父親が倒れ、介護が必要になった、と報せが来たのでした。

母親は離婚しており、妹たちも結婚しています。

父親に良い思いがない弥生は、良い施設をみつけよう、と考えていたのですが。

弥生に、故郷の宮城介護すればいい、と卓磨は彼は言ったのです。

その日は三月九日…感謝を表す日だから、という彼に甘えて…弥生の生活は教師の仕事と介護の日々になりました。

卓磨も一緒に引っ越して、その土地で歯科医を続けていたのです。

ある日、弥生は太郎の実家を訪ねました。

その食堂では、母親の真理亜が働いています。

そして、太郎の今___事故の怪我のこと、離婚や、息子のあゆむのことを知りました。

弥生は仙台に暮らしている太郎の部屋を訪れたのです。

(C)2020「弥生、三月」製作委員会

自堕落な暮らしをしているのがありありと解る部屋の惨状に呆れた弥生は、彼を着替えさせ、息子のあゆむの学校の前で待ち伏せしました。

やがてやってきたあゆむと、どう接していいかわからずに戸惑う太郎。

転がってきたサッカーボールを借りて、差し出し、父と息子にパスをするように怖い顔で指示した弥生。

次第に気持ちがほぐれたのか、ボールのやり取りをするようになった二人は、久しぶりに親子の会話をしたのです。

その様子を見た弥生はほっとして…そして、ひととき、夫のことを忘れていました。

悪夢

昔の気持ちが再燃した二人は、夢中になって求め合い、一線を超えてしまった夜。

そして朝になり、弥生は「もう会わない」と告げて、そのまま出勤したのです。

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夫には「偶然、大学時代の友達にあって、朝まで飲んじゃった…」と電話しましたが、それが、夫婦の最後の会話になるなどということを、二人はそれぞれ予想もしていませんでした。

2011年3月11日。
運命の14時46分に激震が起こり、教室中がかき回されるほどに揺れたのです。

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弥生は生徒らを高台に避難させたあとに自宅に戻った、と言われ、太郎は懸命に彼女のことを探し回りました。

「白井弥生を知りませんか?旧姓は結城弥生です…」

いくつもの避難所や病院を巡るうちに、その名前に反応した老人がいました。

彼は、弥生の父親だったのです。

弥生、21歳の春

東京の大学に通っていた弥生は家に呼び戻され、帰ってきたらその様子が一変していました。

部屋中にべたべたと差し押さえ令状が貼られ、疲れ切った母親と怯えた様子の妹たち。

父親が借金を作り、とうとう立ち行かなくなったのです。

夜逃げの準備をさせられていた母たち。

呆然とする弥生に、父親はとんでもないことを言い出しました。

知り合いの銀行の重役の息子に見初められたから結婚しろ、というのです。

大学を続けることも、教職に就くことも許されず、専業主婦になれ、という無茶苦茶な要求でした。

それと引き換えに、借金の肩代わりをしてもらおう、と言う父親の言い分に切れた弥生でしたが、断るともう一家心中するしかない、という彼に、母親は弥生をなだめるしかなかったのです。

一度は諦めて、ウェディングドレスを着た弥生でしたが。

(C)2020「弥生、三月」製作委員会

その控室に太郎がやってきました。

「昔、サクラと一緒に見た、ダスティン・ホフマンの映画みたいに連れ出してやろうか?」という彼に「こうするしかない、だから、大人になったのよ」と言う弥生。

「それで本当に良いのか?」

太郎は一計を案じました。

ウエディングマーチが流れるはずだった瞬間、そこにはサクラが好きだった「見上げてごらん夜の星を」が…!

ようやく、自分の本心に気づいた弥生は、チャペルの入り口でノリノリで待っている父を振り払い、新郎とその家族に頭を下げ、全力で逃げ出したのです。

あいつのせいで人勢が滅茶滅茶になった!と毒づく老いた父親。

あの日、弥生を捕まえよう通ってきた彼を羽交い絞めにして逃がしたのは、太郎だったのです。

何日も弥生を探して歩いていた太郎のスマホに、母の真理亜から連絡が入りました。

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「弥生ちゃんがみつかった!」

彼女は、体育館に作られた遺体安置所にぺたりと座っていました。

「罰が当たったんだよ…」

卓磨は、津波にのまれ、瓦礫の下敷きになり、近所の子供を抱えるようにして泥にまみれて息絶えていたのです。

遺体が見つかり、卓磨の両親から弥生は散々責められたのでした。

東京にいれば、こんなことにはならなかった…全部お前のせいだ、と。

こんな自分に何かを教える仕事などできない、と弥生は教師を辞め、数年後に看取るまで、自分に怨嗟の言葉をぶつける父親の介護をして暮らしていたのです。

その間、何度も太郎は彼女に連絡をしましたが、一度も返事が返ってきたことはありませんでした。

思いがけない客

震災から数年、サクラが亡くなってから30年の春。

太郎の母が再開した食堂に予想もしなかった来客がありました。

サクラの、父です。

彼は封筒に入ったものを、太郎に差し出しました。

それは、サクラが生前、病院のベッドで愛用していたピンクのウォークマンでした。

彼女が最後に録音したテープが入ったそれは、まるで彼女の遺言でした。

「サンタ(太郎)と弥生が結婚したら、披露宴で流してほしい」

弥生の元に送ったそれは、あて先不明で戻ってきてしまった、というのです。

サクラの両親と弥生は年賀状でずっと繋がっていたのですが、もうその住所にはいない、というのです。

慌ててそれを持って彼女の住んでいたマンションを訪ねた太郎ですが。

個人情報の壁があり、詳細なことはわかりません。

ようやく聞きだしたのは、最寄り駅が高田馬場だということ。

それだけを手掛かりに街を歩き回ると、そこに一軒の古書店を見つけました。

店主に尋ねてももちろん、弥生を知るわけはありません。

ふらりと出ていこうとした彼の視界に“奇跡の人”の背表紙が。

…それを取ると、本棚の向こうに見えたのは、偶然やってきた弥生でした。

駆け出した弥生を懸命に追った太郎でしたが、脚が思うように動かず、見失いかけました。

弥生はそのまま彼をまいて逃げようとしましたが、その時、二人の頭上から聞こえてきたのは「見上げてごらん夜の星を」でした。

太郎はそれを弥生に託しました。

一度はそれから逃げた弥生でしたが。

(C)2020「弥生、三月」製作委員会

観念してヘッドホンを着けました。

そこから流れてきたのは、懐かしいサクラの声。

大人になれなかった彼女から、大人になったはずの太郎と弥生へのはなむけだったのです。

いつかの光景

ウォークマンを太郎に届けようと、故郷に戻ってきた弥生の目の前に、太郎の姿がありました。

(C)2020「弥生、三月」製作委員会

彼が乗ったバスはすぐに発車してしまい、弥生は懸命に走り、バスを追いかけたのです

それはまるでデジャヴのようなワンシーン。

実は、太郎の息子のあゆむが弥生に憧れて学校の先生になったのに、辞めさせられるかもしれない、という危機的状況に陥ったのです。

クラスのいじめに際して、不登校に陥らせた側の生徒に謝罪させたことを咎められたというのです。

保護者を交えたその糾弾の場に駆け付けた太郎と弥生は、歩の隣にいた管理職の教員を見て驚きました。

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かつての担任教師だったのです。

あゆむは、福島から転校してきたという生徒に対する心無い差別といじめについて語り、そんなことをしてはいけない、と話しましたが。

一部の保護者から鋭い声が飛んだのを契機に、あゆむは引きずり出されそうになりました。

弥生は、その元担任の事なかれ主義が変わっていなかったことに怒り、生徒たちに怒り、あのとき、サクラを庇ったのと同じ行動にでました。

あゆむは間違っていない。

彼は君たちを必ず守ってくれる先生なんだ!と。

全くの部外者の暴挙に警察迄呼ばれた騒動になってしまいましたが、彼女は悔いてはいませんでした。

2020年三月、桜の木の下で

その日、サクラの墓所は覆いかぶさるように咲いている桜の花からひらひらと花びらが舞い降りて来ていました。

テープを聞いた太郎。

そして弥生は、この時初めてお互いに素直になれたのかもしれません。

実は同じ日に生まれた二人。

産院のベッドも隣り合わせでした。

離れ離れになっても、この30年、二人は互いの人生になくてはならない存在だったのだと気づいたのでした。

美しい桜吹雪の中で見上げる夜空。

(C)2020「弥生、三月」製作委員会

二人はあの頃の姿に戻り、サクラの愛した歌を口ずさんでいたのでした。

【弥生、三月-君を愛した30年-】感想とレビュー

30年なんてで、あっという間なのだ、というのが自分の人生に照らし合わせて怖くなりました。

高校生が、紆余曲折ありまくりの30年を経て、在るべき居場所をやっとみつけた、という、そんな物語です。

しかも、だらだらと続くのではなく、一年のうち、三月だけをピックアップして繋げていくという極めて珍しい手法で語られています。

それは、サクラがその時期に亡くなったこと、人生の節目、そしてやはり、震災の影響なのだ、と思っています。

そして、象徴的な桜。

サクラの名前も、きっと意図的につけられたのだと思います。

杉咲花ちゃん、素晴らしかった。

高校時代の弥生とサクラ、全く違和感ありません。

というか、弥生と太郎、素晴らしいですね。

16歳から始まって、50歳まで!その経年と、喜びと悲しみと苦労と…。

丁寧に、丹念に作り込まれていました。

まるで、俯瞰するかのように描かれる二人の人生。

その3月の光景をつないでいくような手法は面白かったです。

この季節に観ると、より一層その重みや、空気の匂いが伝わってきそうです。

はい。
若い頃の太郎は、クズです。

覚悟もないままに子供作っちゃった(というか出来ちゃった)ことも、そののちに迸る激情をぶつけて、弥生の心に傷を残してしまったことも。

それでも、ピュアだったんだなぁ、と思う瞬間が、成田くんの凄みだと再確認してきました。

素の二人は、もう、弥生と太郎ではなく、波留さんと凌くんなんですねぇ。

全然顔が違う。

そういう意味でも、貴重な作品です。

二時間で一気に人生を30年疑似体験できるのですから。

まとめ

本作は、宮城県を中心にロケをして撮影されているそうです。

やはり、臨場感が違います。

その土地の持つ匂いというか、漂う空気が画面をより一層リアルにしてくれます。

そう。
まるで紙芝居のように見る30年分の三月はとても象徴的。

今年の春も、いつか、穏やかな気持ちで思い返すことが出来るのでしょうか。

___そうなることを願ってやみません。

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